金属酵素の機能解明・応用

 金属タンパク質には、生体内で起こる化学反応の触媒として機能するものが多く存在し、これらを金属酵素と呼びます。例えば、メタンモノオキシゲナーゼという鉄イオンや銅イオンを含む酵素は、気体であるメタンを液体であるメタノールへ変換することができます。さらに、光エネルギーを吸収する色素タンパク質と、金属酵素を組み合わせることで、植物の光合成のように光エネルギーを用いた物質生産が可能となります。また、これらの酵素を持つ微生物の遺伝子を改変することで、酵素の機能を向上させたり、変化させたりする研究にも取り組んでいます。

メタンからメタノールの選択的酸化


 メタノールは化学原料だけでなく、次世代のエネルギー源としても注目されており、工業的利用価値が非常に高い物質です。しかし、工業的なメタノール合成法は多段階プロセス、多量のエネルギーが必要です。そこで当研究室では、メタン資化細菌の持つメタンモノオキシゲナーゼを利用して天然ガスの主成分であるメタンを温和な条件下でメタノールに変換することを目指しています。この反応系の構築に向けて、遺伝子工学的手法による遺伝子組み換え菌体の利用と膜結合型メタンモノオキシゲナーゼの利用を研究しています。

遺伝子組み換え菌体の利用
 メタン資化細菌は、メタンをメタンモノオキシゲナーゼ(MMO)によってメタノールに酸化し、続いてメタノールデヒドロゲナーゼ(MDH)によってメタノールをホルムアルデヒドに酸化します。ここでMDHの活性を阻害すれば、メタノールを蓄積することができます。当研究室では、MDHをはじめとする酵素を遺伝子工学的に改変し、効率の良いメタノール合成を目指しています。




膜結合型メタンモノオキシゲナーゼの利用
 メタン資化細菌の持つMMOの内、膜結合型MMO(pMMO)を菌体から取り出し、pMMOそのものを利用して、メタノール合成する反応系の構築を目指しています。これまでに、植物の葉緑体と組み合わせ、光エネルギーでメタノールを合成するというクリーンな反応系を構築しました。





シトクロムc3の機能解明と高機能化

 シトクロムc3は、硫酸還元菌がもつ電子伝達タンパク質で、右図のように1分子内に4個のヘムを有する特徴的なタンパク質です。当研究室では、シトクロムc3のアミノ酸配列に部位特異的変異を加えることで、分子内電子伝達経路の解明や新機能の付与について研究しています。
 シトクロムc3中のアミノ酸特異的に非天然アミノ酸を導入し、これを介して電子伝達体を結合するなど、シトクロムc3の高機能化を行っています。高機能化したシトクロムc3は光エネルギーを用いた水からの水素生産などに応用しています。

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